コーヒーとトネリコ

いいアイデアだと思って書いてみたら、先週上司に説教された内容そのままだった。めげずに生きていきたい

カナル型イヤホン装着時の自分の足音ノイズを消す方法

人類三大発明のひとつ、ワイヤレスイヤホン

最近、ブルートゥースのイヤホンが主流になってきている。耳から有線イヤホンのケーブルを垂らしている人は少数派になりつつある。私もBTのワイヤレスイヤホンを購入して使用している。ノイズキャンセルと外音取り込みモードがついているやつだ。とくにノイズキャンセルは、電車、なかでも地下鉄に乗るときに音楽を聞いたり、動画を見たりするときに重宝する。音楽は音を大きくすればなんとかなるが、字幕のない映画や落語やラジオを聞くときにはノイズキャンセルが絶大な効果を発揮する。人類3大発明に入ることはまちがいない。あとの2つは、伸縮式孫の手とオルファが開発した刃が折れるカッターだ。

唯一の欠点は「自分の足音」

ところが、そんなワイヤレスイヤホンにも一つだけ欠点がある。座ったりして移動しないときはバッチリなのだが、歩くと自分の足音が響いてきて気になってしまうという点だ。

歩いてかかとが地面に接すると、その衝撃がなぜか音になって聞こえてしまう。すり足で歩けば解決できるのかもしれないが、回りからの目を考えると変な人扱いされてしまうことは確実だし、すり足で階段は登れない。地下鉄を多用する都会派の自分としては、残念ながらすり足方向での解決は見送りたいと思う。

実はこれはワイヤレスに限った話ではなく、耳の穴にがさっとつっこむカナル型イヤホンには共通の問題点である。有線イヤホンでも同じだよ、ということです。

このたび、めでたくその解決方法を発見したので広く世の中に広報したい。

なぜ足音が響いて聞こえるのか

その前に、有線派の間ではすでに有効とされている解決策が提案されていることを記さねばならない。

そもそもなぜ足音が響いて聞こえるのか。

それは、足が地面にぶつかった衝撃が体を通じて伝わり、イヤホンと体の相対的位置関係が変化することで耳道内の空気が圧縮されて鼓膜を圧迫して音場となって伝わることが原因である。どこまでが原因なのかよくわからない書き方をしましたが、まあそういうことです。歩くと振動する。振動でイヤホンが揺れる。揺れると耳の中の空気が圧縮されたり伸長されたりして、その結果振動となって鼓膜を揺らすというわけです。

だから、外音取り入れモードにしたとしても、上記の条件は変化しないので、足音は響く。ノイズキャンセルをオンにしても、外部のノイズは消えるが自分のノイズは消えない。いくら頑張っても、ダメな自分は残るんだ……という話ではないですね。

これを解決する手段として、足が地面にぶつかる衝撃をなくす、すり足理論を提唱しましたが、ほかにも手段はございます。

まず、イヤホンが揺れなければいいのだから、常に鼓膜とイヤホンの位置関係を一定に保てばよい。これを体験するのに一番簡単な方法が、ワイヤレスイヤホンをして歩いて、足音振動が感じられたときに、両耳の耳たぶをつまんでちょっとだけ引っ張ってみる。もちろん歩き続けてください。

すると引っ張ったことでイヤホンの位置が固定されて足音振動が鼓膜に伝わらなくなり、結果として振動ノイズが減るのである。

問題は、実行に当たってずっと耳たぶを引っ張って歩かなければならないところだ。「あの人変なことしている」と思われたくない人、回りの人からの目を気にする人は「いま宇宙からの電波を受信しています!電波を受信しています!」とつぶやきながら歩いてください。そうすることでイヤホン装着時の足音振動を減らしているという真の目的を隠蔽できます。声を大きめにすると隠蔽度がアップしますが、聞いている音楽に集中できなくなるので、ちょうどいい声の大きさは自分で工夫して見つけてください。

イヤホンと耳の位置関係を固定する

有線派の間では似たアプローチとして「シュア掛け」が提唱されている。提唱されているような気がする。提唱されているといいなと思っている。

これは何かというと、SHUREという高級イヤホンブランドが提唱しているイヤホンの掛け方を、他ブランドでも援用する手法だ。SHURE掛けでは、イヤホンから出たケーブルを、前から耳の上を通して下に向けて機器につなげる。横から見るとひらがなの「の」の字に似た掛け方だ。

耳の上にケーブルを通すことでイヤホン本体にかける荷重を減らして、足音ノイズの低減につなげられるという仕組みである。

ただもちろんこれは有線前提なので、ワイヤレスイヤホンでは実行できないアプローチだ。

私が偶然見つけた手法は、上記2つには当てはまらない。

私が見つけた、カナル型ワイヤレスイヤホンの装着時に自分の足音ノイズが気になるのを解消する方法とは、「イヤーピースを溝があるものに交換する」である。

「溝ありイヤーピース」で足音と低音が消える

そもそもイヤーピースがぴっちり耳道を塞いでいるから、イヤホンの動きで空気が圧縮されてノイズとなるのである。ちょっと隙間を開けてあげれば、イヤホンが多少動いても鼓膜に伝わるエネルギーが少なくなり、結果としてノイズが減るという理屈である。

別用途で購入した有線イヤホンのイヤーピースが密封型と溝あり型の2種類あって、密封型だと音楽聞くのにはいいけれどオンライン会議では閉塞感が強くてちょっとな、と思って溝あり型にしていたのを、ワイヤレスイヤホンに流用したところ、絶大な効果を発揮した。まじでいい。これしかない。

ただし欠点も3つほどある。3つもあるのか……。

1:すぐ慣れる

1つ目は、結構すぐ慣れてしまうこと。しばらくすると、少なくなったはずの足音ノイズに耳を澄ませている自分がいることに気がつく。まあこれはでもしょうがないです。

2:フィット感減少

2つ目は、密封型よりイヤーピースと耳道の接触面積が小さくなるので、ちょっとだけフィット感が落ちること。でも実際はそうそう落ちたりしない(物理的に)。

3:低音消失

3つ目が重要で、まったく重低音が消えます。全部逃げていく。ただしこれはノイズキャンセルをオンにすると多少復活する。外音取り入れモードでも復活するので、人為的に音を増強していないと重低音が失われるということだ。

低音が消えるのは、どんな音楽ソースを聞いているかに寄って重要度が異なってくる。ダンスミュージックだと致命的だが、落語だと特に関係ないかもしれない。映画のセリフもとくに影響がない。ここはダンスミュージックのBPMに足音を合わせるくらいの運用で乗り切って欲しいところである。

あともう一つ、ワイヤレスイヤホンに耳の上に吊るすフックを増設してイヤホン位置を固定し、鼓膜に与える影響を低減するという手段がある。耳たぶ持ち上げるのと原理的には同一である。ただしワイヤレスイヤホンのスタイリッシュなところをまるごと根こそぎ削除するアプローチだ。要するに補聴器の形ですよね。たぶんこれからのワイヤレスイヤホンは、補聴器方向に進化していくのではないかと思います。一番現実的かもしれない。ちょっと試してみたいと思います。

まとめ

アマゾンで探したら、そういうアプローチのイヤーピースってほとんどなかった。密閉度を高くして重低音増強!みたいなやつばっかり。

スポーツ系はむしろ骨伝導とかオープン型とか、そういう方向に進化している印象。

ということで、下の商品があなたのお持ちになっている密閉型ワイヤレスイヤホンにマッチするかどうかはわかりません。