スーツケース風カバー付きキーボード、WANDERFREE!
- 出社時に持っていくキーボードがほしい
- 汎用可搬型入力装置WANDERFREE
- WANDERFREE、購入
- 開封って楽しいですよね
- 細部を観察していきます
- 最大の特徴、カバーはこうなっている
- 実際に使ってみた感想
- いいところと、そうでもないところ
- ここを改修してくれたらもう一つ買います
出社時に持っていくキーボードがほしい
コロナの緊急事態宣言第一弾のときから、ほぼフルリモートで仕事をしています。
会社に行くのは、週に1回~2カ月に1回程度。
自宅と会社で何が違うのか。もちろん通勤の有無があります。
あとは眠たいときにベッドで仮眠できるかどうか。
シャワーが浴びたいときに浴びれるかどうか。
同僚や上司が近くにいるかどうか。
結構違うのが、キーボードなんですよね。
会社から支給されているのは、13インチくらいのノートパソコンです。自宅では27インチモニタにつないで作業。 会社では、場所によって21インチ~27インチの外付けモニタを使うことができます(最近フリーアドレスになったので)。
マウスは、自宅で使っているやつを持っていくことができます。そんなに大きくないですし。
ただキーボードを持っていくのはちょっと難しい。自宅で使っているのは、HHKBのプロフェッショナルハイブリッドタイプSという長ったらしい名前のキーボードです。 これはちょっとお高くて、3万5000円くらいしました。でも値段だけのことはある。打つのが気持ちよいし、楽しい。 音もうるさくないし、小さいし、打鍵感は最高だし、もう言うことがありません。
でも出社時に持っていく気にはなれません。カバンの中に入れておいて壊れたらイヤなので。カバーとかケース的なものも持っていません。探せばあるみたいですけれど。
だから出社時はノートパソコンの平たくて打ちにくいキーボードをペチペチ打っていたのです。ああ、持ち運び機能が強化されていて、かつ打鍵感が優れた使いやすいキーボードがあればなあ。
そんなことを思っていたら、天のお告げがありました。すみませんきっかけは忘れたんですが、このキーボードの存在をどこかで知ったんですね。
LOFREEというのは中国のデザインコンシャスなパソコン周りグッズを作るよメーカーです。たぶんそんな感じ。
汎用可搬型入力装置WANDERFREE
WANDERFEEがどんなものかというと、スーツケースを模したカバーがついたメカニカルスイッチのキーボードです。
「スーツケースを模した」というところで、ある製品が私の頭に浮かびました。20世紀の終わりか、21世紀のはじめくらいにNTTドコモから発売されていた、シグマリオンというモバイルデバイスです。
こんなのです。これは3代目のシグマリオン3。2004年くらいかな
NECがモバイルギアという、WindowsCEを搭載した端末を発売していて、モバイル業界の人はこぞって飛びつきました。モバイル業界とはどの業界を指すのか、不明確で申し訳ございませんが、そういうガジェット好きな人たちを指します。
ドコモがモバイルギアを自社向けにチューンして、かつ商品単価を上げるために、ゼロハリバートンというスーツケースのブランドと組んで、その特徴的な意匠を取り入れて完成したのがシグマリオンです。シンカリオンとかとちょっと似ていますね。戦隊モノっぽさがあることに今気が付きました。
WindowsCEは、OSがROMに焼かれているんでしたっけ? とにかく起動が速い。だから、モバイルギアやシグマリオンは新聞記者を始めとする文筆業の方々に、持ち運べるキーボード端末として人気が出たわけです。さっと開けてさっと入力できる。
モバイルギアもシグマリオンも人気になって売れました。自分はそのころお金がなかったので買えませんでしたが。
ここまでが回想シーンです。
WANDERFREE、購入
WANDERFREEの話に戻ります。
これは買いますね。見た瞬間自分の未来が予測できました。買いましょう。
もうコンセプトの段階で8割方買った気になっている。なんなら企画書の段階で手付金を支払う。もうエレベーターの中でアイデアを聞いただけで工場に発注かけている。それくらいの勢いで買いました。ちゃんと茶軸なのがいいね。機能性が損なわれていない。だいたいこういうかっこつけたデジタルガジェットってデザイン性を優先するあまり肝心な機能性が損なわれていたりするわけじゃないですか。見た目にこだわっているけれどペナペナのキーボードなんていらんですよ。
あと昨今の、マウスキーボードはじめパソコン周りのグッズが全部ゲーミング化してLEDで光るようになっているのに対して、発光部分を最小限に抑えた設計も気に入りました。ひからんでいい。といいつつ蓄光性のステッカーとか貼るかもしれないですが。それとこれとは話が別です。
そんな心の葛藤と経緯を乗り越え、20年前、シグマリオンをショーウインドウ越しに涙目で見ていることしかできなかった私が成長して、蘇ってきた当時の気持ちを人差し指に込めて、マウスをクリックしたわけです。2021年の現在では、どんな分野でもどんなジャンルでも、どんなシチュエーションであってもどんな思考回路を経ても軋轢があってもピンチを乗り越えたりチャンスを掴んだりしたところで、最終的な人間のアクションは結局マウスクリックか画面タップに収束します。
昔呼んだ漫画に「ブラックジャックが外科医ではなく内科医だったら」というのがあって、どんな難病見つけても「お薬出しときますね」で終わる。それに似ています。何が似ているんでしたっけ。キーボードの話に戻ります。
カラーは濃いグレーとグレー×ホワイト。ホワイトを選びました。ゼロハリバートンのスーツケースと言ったら、シルバーです。ホワイトのほうがシルバーっぽいですよね。
ちなみにアマゾンとか楽天とかではなくて、公式サイトで直接購入いたしました。日本への発送に対応していたんですよね。ちなみにこういうときはPayPal使うと便利です。いちいちクレジットカードの番号とか入力したくないじゃないですか。PayPal通せばそのへん簡単です。PayPayじゃないです。PayPalです。間違えないでください。
それで、注文したことをすっかり忘れていたころに配達されました。
開封って楽しいですよね
ダンボール箱を開けたら、またこれがいい雰囲気の箱なんですよ。
これは簡単に捨てられない。とっておこう。そして開けたらこう。
うーんDevTermのときと比肩するワクワク感が、胸の奥の方からじんわりと分泌され、にじみ出てくるのがわかります。年をとってくるとワクワク感も若いときのように勢いよくほとばしったりしません。じわっと出てきて、ポタポタ垂れる感じ。なんか汚いな。
にじみ出てきたワクワク感で汚さないように気をつけながら開封。なんと箱の内側にスポンジが貼られている!
カバーだけでなく、専用の収納袋が付属しています。袋は不織布製。あとUSB-TypeA→Cのケーブルもあるよ。
そして、スーツケースだから旅の高揚感を演出しようという魂胆で、ステッカーがついてきます。これは微妙かなー。「成都~北京」とかはおもしろいっすけれど。まあこういう、旅の高揚感を演出しようとしているわけですよ。同じこと書いてしまった。
細部を観察していきます
バッテリー内蔵しているので結構重いです。キーボード右側のスペースに、物理スイッチがございましてON(USB接続)/OFF/BT(ブルートゥース)を切り替えられるようになっております。充電はTypeC。あと充電ランプとBTの接続ランプがございます。Android/WindowsとMac/iOSを切り替えるスイッチもございます。
配色が素敵ですね。アイボリー+グレーだと、古式ゆかしい日本のOA機器という印象ですが、浅いオレンジが入るとなんかイケている感が出ます。ただファンクションキー関連の印字もオレンジで、これは見えない。見づらい。
ENTERキーは「出発」です。中国語簡体字なのでよくわかりませんが、多分出発です。エンターキー叩くたびに旅に出る気分が味わえるようにという配慮ですね。
スペースバーは長い。英字キーボードだからね。各所に飛行機とか空港みたいなあしらいが施されているのです。
キートップはちょっと独特で、エッジがやや丸められていて、ちょっとだけ台形の角度がきついかな?という印象。指先につたわる感じは悪くありません。キーピッチは19ミリ。スイッチはMXの茶軸です。たぶん。タイプした感触も茶軸。FILCOの茶軸のキーボードがあるのですが、まあ同じような感じです。つまりいい感じ。
キーの配置は全体的にフラットで、HHKBのようなシリンドリカルな立体感はありません。ステップスカルプチャーでしたっけ? ただWANDERFREEのキートップ天面は手前が高く、奥が低くなっています。デスクに置いたときに、キートップ天面が水平になる設計のようです。
あとなんとかしてほしいのは、スペースの左がWindowsキー、その左がALTキーなんですよ。逆にしてほしかったなあ。位置入れ替えたいな。
最大の特徴、カバーはこうなっている
手前がカバー、奥は比較用のHHKBです。WANDERFREEのほうが1.5まわりくらい大きいですね。
カバーには手前側2箇所、奥に2箇所バックル的なのがついていますが、物理的にがチャッとロックするのではなくて、バックル先端に内蔵された磁石でくっついてます。
この磁石がちょっと弱々しい。磁気カードへの影響やらなんやら考えた末の設定かもしれないが頼りないです。最近のネオジム磁石のような、死んでも離さない!という意図は感じられません。砂場で砂鉄を集めるのがお似合いかもしれません。
ここはもうちょっとちゃんとロックできる感じがほしかったなあ。ただ、キーボード周囲の縁の内側にカバーが入り込むようになっているので、カバンの中では外れる心配はなさそうです。まあ実用的には問題なさそう。あと袋もついてるしね。
四隅に傷防止用のラバークッション的な意匠がありますが、意匠だけでゴムではありません。厚みは3センチちょっと。
ひっくり返すとこんな感じ。四隅にゴム製の丸い足がついています。奥の脚が高くなっていて、置いたときに傾斜がつくようになっています。個人的には、ここが一番不満なところ。傾斜を調節できるようにしてほしい!そしてもうちょっと角度をつけたい!
カバーの裏側には、ショートカットキーの一覧が乗っていて便利……なのかな?
スマホやタブレットを立てかけられるスタンドがついていますが、スタンドの機能に対してカバー全体のフットプリントが必要となるため、なんか思ってたのと違う……。ちなみにスタンドは12ミリくらい奥行きがあって、ケースをつけたスマホでも立てかけられます。あ、手帳タイプのやつだとおさまらないかもしれない。
スタンドは、ファンクションキーの間に収まる設計。まあそれがどうした?という感じは否めません。スタンドはべつに持ち歩いたほうが便利。スマホスタンドは、「イケてるキーボード買ったんだよね」というアピールするための機能だと思ったほうがいいです。
実際に使ってみた感想
一日仕事で使ってみました。
サイズは、ちょっとでかいなあ。横幅が30センチ超えるのは辛い。そして大容量バッテリーを採用しているせいか、重い。もうすこし小さく、軽くなりませんかね。シグマリオンの倍くらい重いんじゃないかな。シグマリオン持っていたことないのでわかりませんが。カバンからさっと片手で取り出す、という感じじゃないんだよね。写真はHHKBと並べてみたところです。
スマホスタンドは、前述したカバー全体がフットプリントになるため、場所を撮るので邪魔! あともう少しキーボード全体の傾斜角度がつくようにしてほしかった。
HHKBと同じくらい高さがあるので、快適な入力のためにはパームレストがあったほうがいいかもしれません。
実際の入力は快適に行えました。丸みのあるキートップも、なかなか楽しい感じ。
気になるのは、エンターキーの右側にホームキーがあること。だいたいエンターキーって右端についていますよね。もしくはちょっと隙間があって、ホームやページ上下のキーがあったり、テンキーがあったり。でもこのキーボードはエンターの右隣りに優しく寄り添うようにホームがある。バックスペースの右はページアップ。
そしてスペースバーの左隣りがWindowsキー。これはあかん。何回も押し間違えた。常用するならアプリ使ってAltと入れ替えたいですね。
あ、ちなみにマルチペアリングで、3つの端末と繋げられます。ファンクションキーと数字の1,2,3の同時押しで切り替えです。長押ししているとペアリングモードになります。
スクリーンショットキーがカメラのアイコン、デリートキーがゴミ箱のアイコンなのはかわいい。スペースバーの装飾は、ちょっと存在感トゥーマッチかも。つまりうざい。ここはアイボリーでよかったのではないでしょうか。
いいところと、そうでもないところ
WANDERFREEのいいところは、まず機能性とかそういうのは横に置いといて、気分がアガるデザインとコンセプト。これは誰も否定できないでしょう。否定する人は買わなければいい。賛同できる場合はお買い求めください。
ただ機能性を考えると、ちょっと立ち位置が微妙な製品ですね。
「スマホのフリック入力もいいけれど、リアルなキーボードで入力したい」というニーズは結構あるみたいで、BT接続の薄っぺらいキーボードはたくさん発売されています。携帯性を重視するとそっちになるかな。
メカニカルスイッチや、静電容量スイッチを採用したBT接続キーボードを、ケースなどに入れて携帯するという手もあります。HHKBなんか専用のケースが出ていますよね。とにかく自宅と同じ入力環境を実現したいならそういう選択肢ですね。
ただ、BTの接続ができてメカニカルまたは静電容量スイッチ採用はあまり選択肢がないかも。WANDERFREEは持ち運び用のパッケージが秀逸です。自分は、出社時のキーボードとしてしばらく使ってみるつもりです。
ここを改修してくれたらもう一つ買います
- 横幅がA4ファイルサイズ(約30センチ)に収まるようにして可搬性向上。引き換えに奥行きが長くなっても許容
- バッテリーではなくて乾電池になってもいいので軽量化。べつに充電容量は重視しないので
- Winキーと左Altキーの入れ替え
- エンターキーの右横にちょっとだけ隙間を開ける
- スマホスタンド部分は取り外し可能にするなどして実用性向上
以上です!